○「PTSD」とは

PTSDは、とても怖い思いをした記憶が心の傷となり、
そのことが何度も思い出されて、恐怖を感じ続ける病気です

PTSDとは、命の危険を感じたり、自分ではどうしようもない圧倒的な
強い力に支配されたりといった、
強い恐怖感を伴う経験をした人に起きやすい症状です。
その怖かった経験の記憶が心の傷(トラウマ)として残り、
様々な症状を引き起こしてしまうのです。

人によって、怖い経験は異なります
しかし、このような経験をした人が全員PTSDになるわけではありません。
同じ事故にあってもPTSDになる人とならない人がいます。
では、PTSDになる人は心の弱い人なのでしょうか?
実際にはそんなことはなく、屈強な男性がPTSDに悩まされている例もたくさんあります。
どんな人がPTSDになりやすいのかは分かっていません。
PTSDは、誰がなるか分からない障害です。
言いかえれば、誰にでもその可能性があるのです。
いつまでも心の傷を克服できないからといって、自分を責めないでください。
とても怖い思いをしたあなたにとってPTSDは自然の反応とも言えるのです。

その症状がPTSDだと気がつかないこともあります
生命の危機に直面するほどの体験をしていても、今悩まされている症状と
その体験を結びつけることができないこともあります。
原因が分からないまま、心の不安定な症状が続くと、原因が分かっている時以上に
本人も周りの人も辛く、疲れてしまいます。
それが過去の体験に関係していると気付くことができれば、
それは回復への第一歩となります。

「PTSDかもしれない」と思ったら、どこに行けばいい?
その体験が犯罪被害の場合は、犯罪被害者の会や支援組織など、
多くの相談窓口が用意されています。
地震などの大きな天災の時は、救護チームの中に
カウンセラーが派遣されることもありますので、
救援スタッフに尋ねることもひとつの手段です。
その他、地元の精神保健福祉センターや、精神科や心療内科など、
PTSDに知識のある専門医やカウンセラーのいる施設もあります。
とは言っても、性的被害や家庭内の虐待などは人に相談しにくく、
特に女性や子供など立場の弱い人の中には誰にも相談できず一人で悩み、
我慢している人が少なくありません。
PTSDでなくてもいいのです。今、あなたが辛い思いをしているのなら一人で我慢せず、
思い切って相談窓口のある施設に連絡を取ってみてください。

○PTSDのサイン・症状

突然、辛い記憶がよみがえる
事件や事故のことなどすっかり忘れたつもりでいても、ふとした時に、
辛い体験の時に味わった感情がよみがえります。
それは恐怖だけでなく苦痛、怒り、哀しみ、無力感など色々な感情が混じった記憶です。
周りからみると、何もないのに突然感情が不安定になり、
取り乱したり涙ぐんだり怒ったりするので、理解に苦しむことになります。
その事件や事故を、もう一度体験しているように生々しく思い出されることもあります。
また、同じ悪夢を繰り返し見ることもPTSDによくある症状です。

常に神経が張りつめている
辛い記憶がよみがえっていない時でも緊張が続き、常にイライラしている、
些細なことで驚きやすい、警戒心が行き過ぎなほど強くなる、
ぐっすり眠れない、などの過敏な状態が続くようになります。

記憶を呼び起こす状況や場面を避ける
何気ない日常の中に辛い記憶を思い出すきっかけがたくさん潜んでいます。
多くのPTSD患者さんは何度も記憶を呼び起こすうちに、
そうしたきっかけを避けるようになります。
どんなことがきっかけになるかは本人でなくては分からず、
本人も意識できないままでいることもあります。
意識できない場合でも、自分で気付かないうちにそうした状況を避けるようになるのです。
その結果、行動が制限されて通常の
日常生活・社会生活が送れなくなることも少なくありません。

感覚が麻痺する
辛い記憶に苦しむことを避けるために、感情や感覚が麻痺することもあります。
そのために家族や友人に対してこれまで持っていたような
愛情や優しさなどを感じられなくなったり、人にこころを許すこともできなくなりがちです。
これは、つらい経験の記憶からこころを守るための自然の反応なのです。

いつまでも症状が続く
こうした症状は、辛く怖い経験の直後であればほとんどの人に表れるものです。
ですので、事件や事故から1ヶ月くらいの間は様子をみて、自然の回復を待ってみます。
数ヶ月経っても同じような症状が続いたり、悪化する傾向がみられたら、
PTSDの可能性を考えて専門家の診断を受けてみてください。

○PTSDの治療

心理的・精神的アプローチで心の傷の回復を
持続エクスポージャー療法・・・
トラウマとなった場面をあえてイメージしたり、これまで避けていた記憶を
呼び起こすきっかけにあえて身を置くようにする治療法です。
こうすることで、思い出しても危険はない、怖いことはないということを
それこそ肌身を通じて感じ取っていくのです。
この治療は、専門の治療者の立ち会いのもとに今の状況が安全であることを
患者さんがよく理解したうえで行う必要があります。
「思い出すことが治療につながる」という知識だけで十分な経験のない人が患者さんに
記憶の再体験を促すと、かえって不安が強まって
症状が悪化することにもなりかねません。
必ず持続曝露療法の知識と経験のある治療者の元で行うようにしましょう。

その他・・・
ほかにも、考え方やこだわりを見直して
別の視点で物事を考えるように導く認知療法や、
眼球を動かしながらトラウマとなった経験を思い出す「眼球運動脱感作療法」や
PTSDの人が数名で自分の悩みを語るグループ療法など、様々な方法があります。

薬による治療
辛い症状には薬による治療も行います。
眠れない、不安が強い、うつ状態がある、自殺を考える

おもに使われる薬
SSRIをはじめとする抗うつ薬や抗不安薬、気分安定薬や、
そのほかにも色々な薬を症状にあわせて使います。

参照:PTSD厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_ptsd.html

○PTSDを題材に

~PTSDを扱った作品等をご紹介いたします~

【映画、書籍:ランボー/一人だけの軍隊】(PTSD)

参照:ランボーWikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%BC

【映画、書籍:アメリカンスナイパー/ネイビー・シールズ最強の狙撃手】(PTSD)

参照:アメリカンスナイパーオフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/