解離性障害とは

私たちの記憶や意識、知覚やアイデンティティ(自我同一性)は本来1つにまとまっています。
解離とは、これらの感覚をまとめる能力が一時的に失われた状態です。
例えば、過去の記憶の一部が抜け落ちたり、知覚の一部を感じなくなったり、感情が麻痺するといったことが起こります。
ただ、解離状態においては通常は体験されない、知覚や行動が新たに出現することもあります。
異常行動(とん走そのほか)や、新たな人格の形成(多重人格障害、シャーマニズムなど)は代表的な例です。
こうした症状が深刻で日常の生活に支障をきたすような状態を、解離性障害といいます。
原因としては、ストレスや心的外傷が関係しているといわれます。
心的外傷には様々な種類があり、災害、事故、暴行を受けるなど一過性のものもあれば、性的虐待、長期にわたる監禁状態や戦闘体験など慢性的に何度も繰り返されるものもあります。
そのような辛い体験によるダメージを避けるため、精神が緊急避難的に機能の一部を停止させることが解離性障害に繋がると考えられています。

解離性障害の症状

・解離性健忘
ある心的ストレスをきっかけに出来事の記憶をなくすもので、多くは数日のうちに記憶がよみがえりますが、時には長期に及ぶ場合もあります。

・解離性とん走
自分が誰かという感覚(アイデンティティ)が失われ、失踪し新たな生活を始めるなどの症状を示します。
学校や職場において極度のストレスにさらされ、それを誰にも打ち明けることが出来ない状態で突然始まり、それまでの自分についての記憶を失うことが多くみられます。

・カタレプシー
体が硬く動かなくなること。

・解離性昏迷
体を動かしたり言葉を交わしたり出来なくなること。

・離人症
自分が自分であるという感覚が障害され、自分を外から眺めているように感じられます。

・解離性てんかん
心理的な要因で、昏睡状態になる、体が思うように動かせなくなる、感覚が失われるなどの症状が現れます。

ほかにも、ヒステリー性運動失調症、ヒステリー性失声症、解離性運動障害、失立、心因性失声、心因性振戦、解離性痙攣、憤怒痙攣、解離性感覚障害、心因性難聴、神経性眼精疲労、ガンサー症候群、亜急性錯乱状態、急性精神錯乱、心因性もうろう状態、心因性錯乱、多重人格障害、反応性錯乱、非アルコール性亜急性錯乱状態なども解離性障害の一種です。

・多重人格障害
これらの中でも、多重人格障害はDSM(アメリカ精神医学会の診断ガイドライン)では解離性同一性障害と名付けられ、極めて特徴的な症状を示します。
患者は複数の人格を持ち、それらの人格が交代で現れます。
人格同士はしばしば、別の人格が出現している間はその記憶がない場合が多く、生活上の支障をきたすことが多くなります。

解離性の障害を理解するうえで重要な点は、過去にこれらが解離という言葉を用いられずに、様々な形で精神医学の関心の対象となってきたことです。
文化結合症候群(特定の文化に特有の精神医学的疾患)という一連の精神障害がありますが、そこで記載されているもののほとんどすべてが解離性の障害と考えることができます。

解離性障害の治療

<治療の基本>

安心できる治療環境を整えること、家族など周囲の人の理解、主治医との信頼関係が基本となります。
解離性障害の主な原因は、心的なストレスにより他の人に自分を表現することができないことです。
つまり、解離されている心の部分は安心できる関係性でしか表現できません。
症状の多くは、ある程度の時間を経れば自然に解消されるか、別の症状へ移行するのが一般的です。早い段階で催眠や暗示によって、解離性の健忘や、失立、失声、麻痺等を解消することは効果が期待できないだけでなく症状を悪化させることもあります。
安全な環境や自己表現の機会を提供しながら、それらの症状の自然経過を見守るという態度も重要です。

<心理教育・情報提供について>

治療者が解離性障害一般について十分な知識を持ち、患者や家族に積極的に情報を提供することは重要です。
大半の患者は、まずその病態を信用してもらえない、演技と思われてしまうという問題を抱え、そのことが解離性の症状を更に悪化させることもあります。
本人が、自分に起きていることを理解していない場合も少なくありませんので、本人やその家族がまずこの障害を理解し症状を受け入れることが環境調整の第一歩ともいえます。

<薬物療法>

解離性障害に有効な薬はないといわれています。
統合失調症と混同されやすい幻覚についても、抗精神病薬もあまり有効とはいえないようです。
むしろ解離性障害の症状を悪化させているような併存症に対する薬が処方されます。
例えば、うつ症状に対する抗うつ剤や、PTSDを含む神経症症状に対する精神安定薬などです。

参照:「解離性障害」(みんなのメンタルヘルス)
(http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_dissociation.html)

解離性障害を扱った作品など

●ルームメイト/今邑彩
参照:「ルームメイト(今邑彩の小説)」(Wikipedia)

●24人のビリー・ミリガン/ダニエル・キイス
参照:「ビリー・ミリガン」(Wikipedia)