○視覚障害の定義と種類

「視覚」に障害がある場合を「視覚障害」と呼びます。
実際には、視覚のみに障害のある方(単一障害)だけではなく視覚と聴覚、視覚と触覚など、
複数の障害を併せ持った方(重複障害)も少なくありません。

○先天性と後天性

先天性とは生まれつき視覚に障害があること。
後天性とは人生の半ばで視覚に障害をもつことです。

先天性の場合、幼少のころから盲学校(視覚特別支援学校)に通って
点字や職業教育など、専門的な教育を受けることができます。
幼いころから点字に親しんでいる方の点字の読み書きの速度の速さには、
驚かされることがよくあります。
しかし、盲学校は生徒数が少なく、集団で過ごす経験は不足しがちです。
また、県に1校しか盲学校がないというところも多く、通学のために
親は引越しするか、毎日送り迎えするか、それとも子供を寮に入れるか、
いずれかを選ばなければならないこともあります。
盲学校ではなく、地域の学校で学ぶことを選択することもできます。
その場合、住み慣れた地域から離れて暮らすことなく、
学校生活を送ることができます。
しかし、点字や拡大文字の教科書・参考書の準備や、
授業を進める上での配慮についてはまだまだ不十分な点も少なくないのが現状です。

一方、後天性の眼疾患の場合、これまでの視覚中心の生活から大きな転換を余儀なくされ、
その苦労は想像に余りあります。
施設に入所して、あるいは通いながら、歩行訓練や点字・音声パソコンの訓練、
家事や日常生活動作の訓練を受けることは大切です。
しかし、なかにはそのような訓練があることや、
視覚障がい者のための日常生活用具や補助具など
知らないままに過ごしている方も、まだまだおられるようです。
また、働き盛りの中年期に視覚に障害を持った場合、仕事を継続するためには
さらに多くの努力と視覚障害に対する周囲の理解が必要です。

○見え方(範囲によるもの)

疾患によって見える範囲(視野)が制限される現象を、視野障害と言います。

視力が低い時の見えにくさは、眼鏡やコンタクトレンズを使用している人であれば
ある程度イメージしやすいかとは思いますが、
視野が制限される、というのは分かりにくいのではないでしょうか。
例えば、求心性視野狭窄(きゅうしんせいしやきょうさく)では、
見える範囲は細い筒を覗いたように中心部分の狭い範囲だけになります。
この場合、例えば新聞の文字を読めるぐらいの視力があっても、
周りが見えないために段差につまずいたり、物を探すのが難しかったりします。
逆に、周辺部分は見えるけれど中心部分が見えない疾患もあります。
この場合、周りの様子はなんとなく分かるので、
道路に黄色い点字ブロックがあると道の方向が分かって歩きやすいこともあるのですが、
周りの色と似たような点字ブロックは見分けることができず不便を感じたり、
思わぬものを見落としてぶつかったりすることもあります。
また、見えない部分が「まだら状」になっている場合もあります。
このように視野が狭かったり、一部分しか見えなかったりする場合、
本人もどの部分が見えていないのか把握できていないこともあり、
また、周りにいる人たちもなにが見えていてなにが見えていないのか理解しにくく、
そのために「そそっかしい性格」とか
「見えているのに見えないふりをしているんじゃないか」など、
様々な誤解を受けてしまい、人間関係がうまくいかなくなってしまうこともあります。

○時間帯や光の加減によるもの

視覚障害によっては、まぶしさを非常に強く感じたり、
光の加減によって見え方がまったく違ったりすることがあります。

視覚障がい者が、日中帽子を深くかぶったり、色付きのサングラスをかけたりしているのは、
目や顔を保護する目的の他に眩しさを防ぐ意味もあります。
また網膜色素変性症という疾患の場合、明るい場所では比較的よく見えるのに、
暗がりではほとんど何も見えない、という方が多くおられます。
これは微量の光をキャッチする事のできる網膜の杆体(かんたい)細胞が
ダメージを受けていることが多いからです。
明るさのわずかな変化に慣れるのにも時間が掛かり、
例えば、明るい外から屋内に入っただけでもとても暗く感じ、しばらくの間
なにも見えない状態になってしまうこともあります。
同じ病名でも、症状や見やすい明るさの条件は人によって様々であるということも、
ぜひ知っていただければと思います。

参照:視覚障害とは公益財団法人 関西盲導犬協会
http://www.kansai-guidedog.jp/knowledge/disease/

○視覚障害を題材に
~視覚障害を扱った作品等をご紹介いたします~

【映画:いつか来た道】

参照:いつか来た道Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%81%A4%E3%81%8B%E6%9D%A5%E3%81%9F%E9%81%93_(1959%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)

【映画:箱入り息子の恋】

参照:箱入り息子の恋公式サイト
http://www.hakoiri-movie.com/

【映画、書籍:暗いところで待ち合わせ、暗いところで待ち合わせ/乙一】

参照:暗いところで待ち合わせ株式会社 幻冬舎
http://www.gentosha.co.jp/book/b2960.html