うつ病とは

眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。
精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。
脳が上手く働いてくれないので、物の見かたが否定的になり、自分が駄目な人間だと感じてしまいます。
そのため、普段なら乗り越えられるストレスも、より辛く感じられるという悪循環が起きてきます。
薬による治療と併せて認知行動療法もうつ病に効果が高いことが分かってきています。
無理をせず、早めに専門機関に相談すること、そしてゆっくり休養をとることが大切です。

<「うつ病」には色々ある>

「憂うつな気分」や「気持ちが重い」といった抑うつ状態がほぼ一日中あってそれが長い期間続くというのはうつ病の代表的な症状です。
症状が見られた場合、うつ病と診断されることが多いのですが、本当はこれだけで診断がついたことにはなりません。
他に性格や環境、あるいは他の病気やこれまで服用していた薬が関係していることもあります。
また、これまでに躁状態や軽躁状態を経験したことがある場合は、うつ病でなく双極性障害(躁うつ病)であると考えられます。
統合失調症など他の精神疾患が背景にあって、抑うつ状態はその症状の一つであったという場合もあります。
正しいうつ病の診断は、うつ病のどのタイプなのか、他の精神疾患である可能性はないかなどを確認することまで含まれるのです。

<治療法にも色々ある>

うつ病の治療法は、患者さんによって異なります。
典型的なうつ病ならば、薬物療法の効果が期待でき、性格や環境の影響が強い場合は、精神療法的アプローチや、時には環境の整備が必要になります。
休職についても、休養が必要な場合とむしろ仕事を続けた方がいい場合もあって方針は一つではありません。
うつ病と一括りに考えて治療を受けるのではなく、うつ病には色々あって治療法も一つではないことを知っておくことが大切です。

うつ病のサイン・症状

<どのくらい続いているのか>

うつ病と診断する目安として、次のような症状のうちいくつかが2週間以上ずっと続くというものがあります。
一つ一つの症状は誰もが感じるような気分ですが、それが一日中ほぼ絶え間なく感じられ、長い期間続くようであればもしかしたらうつ病のサインかもしれません。

・抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)
・何をしても楽しくない、何にも興味が沸かない
・疲れているのに眠れない、一日中眠い、いつもよりかなり早く目覚める
・イライラして何かにせき立てられているようで落ち着かない
・悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる
・思考力が落ちる
・死にたくなる

<周りからみて分かるサインもあります>

うつ病では自分が感じる気分の変化だけでなく、周囲から見て分かる変化もあります。
周りの人が「いつもと違う」こんな変化に気付いたら、もしかしたら本人はうつ状態で苦しんでいるのかもしれません。

・表情が暗い
・涙脆くなった
・反応が遅い
・落ち着かない
・飲酒量が増える

<体に出るサインもあります>

抑うつ状態に気付く前に、体に変化が現れることもあります。

・食欲がない、胃の不快感、口が渇く
・体が怠い、疲れやすい、頭痛や肩こり、動悸、めまい、便秘など

うつ病の治療法

<多彩な治療法>

うつ状態をおこす原因がはっきりしているときは、その原因を取り除くことが検討されます。
例えば、体の病気が原因である場合はその治療を行い、薬の影響が考えられる場合は、可能であれば薬の中止、それができない場合は別の薬への変更が図られます。
性格的にストレスなどの影響を受けやすい人は、精神療法的なアプローチが効果的です。
こうしたうつ病でも、うつ状態が重症であれば抗うつ薬による治療も平行して行われます。
うつ病と判断された場合には、一般に抗うつ薬による治療が行なわれます。
ただし、典型的なうつ病でも軽症の場合は薬の効果がそれほど期待できないこともあるので、薬物療法が絶対であるというわけではありません。
自分には本当に薬が必要かどうか、主治医に確認しながら治療を受けるようにしましょう。

<薬も色々ある>

抗うつ薬と言われるものだけでもSSRIやSNRIといったものから、三環系抗うつ薬などいくつかのグループがあり、抗うつ薬のほかにも症状に合わせて抗不安薬や睡眠導入剤なども使われます。
また、躁状態や軽躁状態を経験したことがある人の場合は、うつ病でなく躁うつ病(双極性障害)と診断され気分安定薬が使われます。
どの薬が効くかは治療を受ける人それぞれで異なり、また、同じ人でも病気がどの段階かによって違ってきます。

<薬の飲み方>

薬物治療では、まず主治医に処方された薬の効果と副作用について説明をしてもらいます。
また、処方された量と回数を正しく守ることが大切です。
症状がそれほど重くないと感じる、副作用が心配などの理由から自分で量や回数を勝手に減らすと、
主治医は十分な効果が得られないと判断して薬の量を増す、もしくは別の薬に変えるなどの対応を考えることになってしまいます。

主治医が治療上の不安や疑問に応えてくれない、話をするのが面倒な様子をみせるというような場合は、ほかの専門家の意見を聞くことも考えます。
これを「セカンドオピニオン」と言い、複数の専門家の意見を聞くことが納得のいく医療を受ける手立てになることもあるのです。

参照:「うつ病」(みんなのメンタルヘルス)
(http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_depressive.html)

うつ病を扱った作品など

●ぐるりのこと。
参照:「ぐるりのこと。公式ウェブサイト」
(http://bitters.co.jp/gururi/index.html)

●サイド・エフェクト
参照:「『サイド・エフェクト』オフィシャルサイト」
(https://web.archive.org/web/20140519053854/http://www.side-effects.jp/)

●配達されたい私たち
参照:「配達されたい私たち」(WOWWOWオンライン)
(http://www.wowow.co.jp/dramaw/haitatsu/)

●うつヌケ~うつトンネルを抜けた人たち~
参照:「うつヌケ~うつトンネルを抜けた人たち~田中圭一」
(https://note.mu/keiichisennsei/m/m1e241522cab9)

平成30年4月17日編集